漢方治療の有効性の判断
内服② 治療の見通しについて
漢方をはじめとする中医学における病気の治癒に関して、重要なことの一つに、
「先天(せんてん)の精」
「後天(こうてん)の精」
という考え方があります。
先天の精は、生まれた時に親から受け継いだもので、中医学では「腎」に蓄えられ、成長や発育など生命活動の基礎となるものと考えられています。
後天の精は、生まれた後に飲食物から得られるもので、消化機能と深く関係しています。
中医学では、飲食物から得られたものが身体を支え、気や血とも関係しながら全身を滋養すると考えます。
先天の精には個体差があり、また、年齢を重ねることで身体の状態も変化していきます。
加齢などによって消化機能が低下すれば、身体を支える力にも影響が現れることがあります。
漢方治療の見通しについて
正しい診断と処方を行うことを前提として、当院が漢方生薬治療の見通しを考える際に重要視していることの一つが、
「現在の身体に、どの程度回復する力が残されているのか」
ということです。
同じ病気であっても、年齢、病気になってからの経過、体質、消化機能、現在の全身状態などによって、治療開始時の身体の状態は異なります。
そのため、病名だけを見て治療の見通しを判断することはできません。
当院では、現在現れている症状だけではなく、それまでの経過や身体全体の状態を確認したうえで治療を行っています。
治療を始める時期について
当然ですが、物事には原因と結果があります。
身体の変化も、ある日突然起きるものばかりではありません。
目に見える症状や検査結果の変化として現れる以前から、身体の中では少しずつ変化が進んでいることがあります。
そのため当院では、病気が進行してから治療を始めるだけではなく、できるだけ早い段階から身体の変化を確認することが大切だと考えています。
一方、すでに慢性疾患が進行している場合であっても、現在の身体の状態を詳しく確認したうえで、漢方生薬治療を検討していきます。
治療開始後の変化について
当院では、正しい診断に基づいて漢方生薬治療を開始した後、初期に現れる身体の変化を重要なものとして捉えています。
これまでの診療では、治療開始後の比較的早い段階で、飼い主様が何らかの体調の変化を感じられるケースがあります。
こうした変化を確認することは、その後の治療を考えていくうえでも大切です。
漢方生薬治療は、ただ長期間内服して結果を待つのではなく、治療開始後の身体の変化を確認しながら進めていきます。
まとめ
漢方生薬治療の見通しは、病名だけで決まるものではありません。
年齢、これまでの経過、体質、消化機能、全身状態など、さまざまな要素が関係します。
当院では、現在の身体の状態と「回復する力」を確認しながら、その後の治療の見通しを考えていきます。


