⭐️消化器病の漢方治療について
✳️消化器病の漢方治療
病歴の長さ・種類・患者様の状態により使用する漢方生薬の組み合わせは異なります。
具体的な症状や病名に照らし合わせて、ご紹介いたします。
嘔吐→制吐漢方
下痢→下痢止め漢方
食欲不振→食欲増進漢方
膵炎→膵炎専用漢方
蛋白喪失性腸症に伴う低アルブミン血症→蛋白吸収促進漢方
不定期な下血→消化器止血漢方
これ以外にも消化器漢方はいくつもありますが、これらを単独で使用することもありますし、複数で使用することもあります。
📕解説
消化器の問題を考える場合、中医学では、1つの症状である『湿熱症』について考える必要があります。
✴️湿熱症
『湿』は、消化管に障害を引き起こします。
『湿』とは、
✨1.食べ物から生じるもの
と
🌟2.季節によって生じるもの
とがあります。
順番にご説明いたします。
✨1.食べ物から生じるものについて
もともと消化機能が低いヒトや動物は、中医学では、『脾気虚(ヒキキョ)』という体質です。
✴️脾気虚の患者様の消化器症状としては、『お腹が弱く』以下のような症状が見られます。
・食欲ムラがあり、いつもいろんなフードを試してみるけど食べてくれない。
・不定期な嘔吐・下痢がある。
・いつも便がゆるい。
・体の線が細い
・太らない
・痩せている
・膵炎を再発する
などがあります。
*『脾(ヒ)』とは、消化器のことを指します。
食べ物は、
口に入り、
咀嚼をして嚥下をし、
食道を通って、
胃の中へ入ります。
本来、消化管と言うものは、水を滝が流れるようにサーッと内容物が通過しなければいけません。
しかし、消化機能が低い脾気虚の動物は、飲食物が胃の中にとどまる時間が長くなります。
胃の中に食べ物、水、分泌された胃酸などが混ざり合い、体温が37度前後であれば、
ちょうど炊飯器の中で、ずっとお粥を保温にしてるような状況になります。
炊飯器でお粥を5日間ほど保温状態にしていれば、中の白米は発酵してきてドロドロになり腐ります。また発酵したときに『熱』を生じます。
この白米が、発酵して、ドロドロになったものが『湿』です。
さらに、その時に生じた『熱』とがあわさり、『湿熱』となります。
この湿熱が身体にいろいろな影響を及ぼし、その症状は、最初にお話しした『湿熱症』となります。
『湿熱症』になると、その湿と熱は、様々な臓器に影響を及ぼします。
また、『湿』が『熱』で蒸らされると、さらに『痰』に変わります。
この『痰』と『熱』が合わさると、『痰湿』となります。
『痰湿』は、ネバネバとしたものです。
余分な湿や、生じた痰は、弱った臓器に影響します。
弱った臓器によって、以下に記載したような現象や症状が起きます。
・肺→喉に痰が絡む
・肝臓→目から涙がたくさん出る、首から上の症状、眩暈など
・心臓→胸の痛みなど
・腎臓→湿が多い→下半身に水が多い→下半身の冷え
・消化器→湿多い→食欲不振・嘔吐・下痢などの消化器症状
・皮膚→湿疹
🌟2.季節によって生じるもの
『湿気』の多い季節、中医学上で、『長夏(チョウカ)』と言われる、現在の暦で7月を指す時期は、人でも食欲が低下することがあります。
うなぎを食べる土用の丑の日近辺は、食中毒や下痢のご相談など、消化器症状がヒトでも多いです。
動物の場合、特に、ワンちゃん🐶で、飼い主様から『夏に食欲が落ちた』などのご相談を受けることが多いです。
これは7月だけではなく、現実的には湿気が増える5月〜10月くらいまでにご相談が多いように感じます。
この時期も上記にお示しした『湿熱症』となる患者様が多いです。
また、漢方治療の臨床現場では、病気が複雑になったら、まず消化器から治療するという原則があります。
高度な治療テクニックですが、一見、消化器とは関係がない様な病気も、そのような方法で治療します。